付録C HTML 都市伝説
広く言われているけれど、そのままだと雑——という HTML の「言い伝え」を、判定つきで並べます。多くは半分ホントです。なぜ半分なのかが分かると、HTML の見え方が変わります。
「h1 はページに 1 個だけ」 — 判定: 半分ホント
大見出しを 1 つに保つ設計は自然で、編集上の助言としては有効です。でも仕様の絶対規則ではありません。本当に問うべきは個数ではなく、見出し階層が論理的かどうか。「2 個書いたら違反」は言いすぎです。(→ 第17章)
「table は使うな」 — 判定: ウソ
批判されたのは、ページ全体を表で組むレイアウト用途の乱用です。料金表や比較表のようなデータの表には、table がいまも最適。要素そのものに罪はなく、用途を取り違えていただけです。(→ 第18章)
「div は悪」 — 判定: ウソ
意味のある要素で置けるところまで div にするのは問題ですが、汎用コンテナとしての div は必要です。悪いのは要素名ではなく、意味を渡せる場所まで全部ただの箱にしてしまうこと。(→ 第19章)
「b タグはもう使うな」 — 判定: 単純すぎ
b は削除されず、HTML5 で意味を持つ要素として再定義されました。強い重要性を表す strong とは役割が違い、使いどころもあります。標語だけでは足りません。(→ 第20章)
「alt は画像のおまけ」 — 判定: ウソ
alt は「画像が出ないときの代わりの文字」だけではありません。目で見ない読み手(スクリーンリーダーや検索エンジン)にとっては、それが画像の本体です。おまけどころか、画像の意味そのものを運んでいます。(→ 第24章)
「<!DOCTYPE html> は書式の宣言」 — 判定: ほぼウソ
いまの DOCTYPE は、文書型を宣言する仕事をほとんど失っています。唯一の役目は、ブラウザを Quirks Mode(互換モード)に入れないこと。実体はスイッチであって、宣言ではありません。(→ 付録D)
「 HTML は簡単」 — 判定: 入口だけホント
書き始めるのは簡単です。でも互換性、パース、エラー回復、仕様、支援技術まで含めると、背後はかなり深い。本書で見てきた「変な仕様」の数々は、その深さが表に出たものです。簡単に書けることと、単純な技術であることは別です。